湖北五山巡りの旅⑤摩訶耶寺

浜松魅力発信館 The GATE HAMAMATSU

2020年08月14日 11:45

こんにちは!The GATE鈴木です。

湖北五山巡りの旅シリーズ最後の投稿は、⑤摩訶耶寺をご案内します。

これまでの投稿はコチラから↓

①宝林寺

②龍潭寺

③方広寺

④大福寺

先日の大福寺までの4つのお寺は一日で周ったのですが、摩訶耶寺さんはその日お休みされていたため、日を改めて参拝してきました。
湖北五山の中でも開創が最も早く、一番古いお寺になります。それでは早速ご案内していきます!


いにしえの御仏に出会える寺
摩訶耶寺


摩訶耶寺は奈良時代の726年(神亀3年)に、行基菩薩(ぎょうきぼさつ)によって開創された高野山真言宗のお寺です。当時は新達寺(しんだじ)という名前で、大福寺と同じく富幕山(とんまくやま)に開創されましたが、平安時代に千頭ヶ峯の観音岩と呼ばれる場所に移り、名を真萱寺(まかやじ)と変え、平安時代末期に一条天皇の勅願により今の場所へと移りました。


三ヶ日駅の辺りから北に向かい車で5分程度。駐車場に車を停めると、すぐに参道入り口があり、高麗門が現れます。



高麗門とは、本来は城門の一型式で、画像のように正面の門とその左右の控え棟からなります。この摩訶耶寺の高麗門は安土桃山時代のもので、徳川家康が浜名湖畔に船入できる水城として1583年に築城された野地城(三ケ日町都筑)が1680年に廃城となった時に、当時の領主の手配により、この摩訶耶寺の山門として移築されたといわれています。



こちらがご本堂です。総ケヤキ造りで、徳川3代将軍家光の時代である1632年に建造されました。外から離れて見ると華やかというよりは落ち着いた印象だったのですが、中がとにかくすごかったので、少し力を入れてご紹介してまいります!




正面の屋根裏には龍、左右には阿吽の(!)、牡丹の花など、とても華やかな彫刻が施されています。




中に上がると、総ケヤキ造りとあって木造のあたたかな雰囲気を感じることができます。



まず最初に目に付くのは、この格天井図。極彩色の花鳥図となっており、手前は鳥や動物が中心、下の画像では見切れていますが、上の画像の格子の奥の天井には草花が描かれています。また、この画像の中央下のあたりに象の絵が見えると思いますが、この本堂が建てられた1632年にはまだ日本に象は来ておらず、想像で描かれたものだそう。




ちなみに少し余談ですが、日本に象が伝来したのは徳川8代将軍吉宗の時代にベトナムから長崎に2頭送られてきた時になります。長崎から江戸まで2頭の象を歩いて移動させ、その道中2頭のうち1頭は亡くなってしまい、実際に吉宗の目に触れたのは1頭のみでした。奥山と三ケ日をつなぐオレンジロードの途中にも象鳴き坂という峠があり、移動の途中この峠を通った象が疲れ果ててここで鳴いたという言い伝えから名づけられたとの事です。




この天井には他にもこんな素敵な天女様がいらっしゃいます。住職様に教えていただくまで気づかなかったほど小さくささやかですが、見回してみると隅々にたくさんいて、とても優美な印象を与えていました。これから行かれる方はぜひお見逃しのないよう、チェックしてくださいね。



他にも着目していただきたいのはこの天井部分の造り。
折上式(おりあげしき)の格天井(ごうてんじょう)と言い、釘を使わず木材を格子状に組んで作っていく格天井ですが、さらに周囲を湾曲させて中央部分を一段高くすることで(これを折上式といいます)格式高い様式となっています。




本堂奥に鎮座するこちらのお方は真言宗の開祖、弘法大師空海



こちらは浜名湖七福神の一人、大黒尊天



そして、少しドキッとするビジュアルのこちらはおびんずるさま。南無賓頭盧尊者(なむびんずるそんしゃ)という十六羅漢の一人で、この像をなでると病気が治ると言われています。参拝者から撫でられ続けて、このようなお姿になったのですね…。




また、この摩訶耶寺には文化財に指定された3体の仏像があります。

こちらは静岡県重要文化財の阿弥陀如来像(平安時代末期作)。



こちらは国指定重要文化財(大正12年国宝指定)の不動明王像(平安時代末期作)。



もう一体の国指定重要文化財(大正4年国宝指定)の千手観音像(藤原時代初期)は、京都美術院にて修復中のため、来年5月上旬まで拝観できないそうです。お戻りになった際にはぜひまた訪れてみたいと思います!


本堂を後にして、有名な庭園へ。摩訶耶寺の庭園は静岡県最古の庭園で、昭和43年の調査により平安時代の影響を強く残す鎌倉時代前期の庭であることが明らかになりました。また、この庭園の約80%は当時の姿を残しており、日本の中世庭園を代表する庭園だと言われています。樹木の植栽を人工的にアレンジして自然の縮図を美的に再構築しようとする近世庭園に対して、大自然に囲まれたなかに精神的な別世界を構築しようとするのが中世庭園の特色です。
写真に収めると立体感が出なくなってしまうのですが、生で見ると息をのむほどの美しさでした。歩みを進めて視点を変えていくとどんどん表情を変えていきます。




境内にはくりからの滝と呼ばれる滝もありました。涼しげで、暑い夏の日にはありがたいです。滝つぼに近づけるので水にも少し触りましたが、冷たくて気持ちよかったです。沢蟹やタニシもいましたよ!



そしてそのすぐ横にあるのが、津島神社。この津島神社は須佐之男命を祀る神社だそうです。階段が急ですが段数は多くないので、息切れする前に登り切れました。



津島神社にお参りした後、来た道と違う帰り道があったのでそちらに進んでみると、先ほどのくりからの滝を後方から眺めることができました。風がよく通ってとても涼しく気持ちよかったです。個人的におすすめの穴場スポットですので、階段の上り下りが大丈夫な方は、ぜひ足を運んでみて下さいね!




摩訶耶寺のご案内、以上となります。
最初に宝林寺さんで購入した御朱印色紙も無事集めることができました。しばらくはThe GATEにひっそり展示させていただこうと思います。





摩訶耶寺

静岡県浜松市北区三ケ日町摩訶耶421
TEL:053-525-0027
拝観時間:9:00-16:30
入場料:大人400円、高校生300円、中学生200円、小学生以下無料
駐車場:あり

https://makayaji.web.fc2.com/





長らく続きました湖北五山巡りの旅、以上です。
ご覧いただきありがとうございました。外出しづらい中ですが、浜松市民の方にとっては身近な観光スポットを再発見するきっかけに、遠方の方には観光気分になっていただければ幸いです。


これからもThe GATEスタッフ、浜松の魅力を発信していきますので、今後ともよろしくお願い致します☆






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