湖北五山巡りの旅③奥山方広寺

浜松魅力発信館 The GATE HAMAMATSU

2020年07月27日 12:18

こんにちは!
The GATE鈴木です。

シリーズでお届けしている湖北五山巡りの旅、今回は3番目のお寺、奥山方広寺について紹介していきます。

前回の投稿はコチラからぜひ↓

①宝林寺

②龍潭寺

臨済宗方広寺派大本山
大本山方広寺 奥山半僧坊総本殿


方広寺は臨済宗方広寺派の大本山で、1371年(建徳2年)、当地を治めていた豪族奥山六郎次郎朝藤(おくやまろくろうじろうともふじ)の招きにより、後醍醐天皇の皇子無文元選(むもんげんせん)禅師によって開創されました。(余談ですが、前回投稿した龍潭寺にも後醍醐天皇の皇子である宗良親王が登場していますが、このご兄弟にあたる方ですね。)その後、度重なる火災や廃仏棄却運動により衰退する時期もありましたが、日本全国からのご寄進もあり現在の形に再建、復興を遂げています。

方広寺派の大本山という事もあり、湖北五山の中でも群を抜いてスケールが大きく、60ヘクタール(東京ドーム約13個分)もの広大な敷地に、本堂、半僧坊真殿、上天台舎利殿、三重の塔など多くの建物を擁しています。また、その長い歴史の中に様々なドラマがあり、その一部をこの後お写真とともにご紹介していきたいと思います。

それでは、方広寺編、どうぞご覧下さい。




方広寺がある奥山地区は、浜松の市街地からおおよそ1時間程度。駐車場についてから5分ほど歩くと、このような門が見えてきて、この時点で観光気分がぐっと上がってきます。



この門をくぐると飲食店などが並び、小規模な門前町のような雰囲気ですが、残念ながらこの時期の平日はどのお店も閉店しており、看板猫さんが挨拶をしてくれる程度でした。

受付のある黒門から本堂まではゆるやかな山道を15分ほど歩きますので、歩きやすい履物で参拝されることをお勧めします。

こちらは弁天堂。出世弁才天と書かれた標石が立っており、池には立派な錦鯉が優雅に泳ぐ姿が見られました。



参道を歩いていると、次から次へと現れるこれらの五百羅漢像たち。
この哲学の道以外にもそこかしこにいらっしゃいますが、これは1770年に拙巌(せつがん)和尚が発願されたそうで、多くの方の寄進によって五百体もの羅漢が安置されたとの事です。現在もこの羅漢像の寄進は続いているようで、参拝の最初から最後まで、この羅漢像に見守られているような、大きな存在感を持っていました。



おだやかな顔の羅漢様の頭の上にはかわいいカマキリさんが。
他にも、サワガニやトンボ、アゲハ蝶、トカゲ?など、小さな生き物がたくさん見られて楽しかったですよ!




こちらの赤い亀背橋を渡ると、その先に本堂が待ち受けています。
グーっと、パノラマ撮影。



こちらが、方広寺の本堂です。この本堂は、明治14年全山堂宇が焼失した大火の後、明治38年から大正7年にかけて竣工されたもので、間口32m、奥行き27mと東海屈指の大きさです。目の前に立ってみると、その大きさに圧倒されました。



この本堂を再建する際、全国の信者善女人から頭髪の奉納を享け、この写真の毛綱を作り、無事棟木を挙げて本堂が完成したとの事です。この毛綱は「十万一念力の毛綱」と呼ばれ、長さ90m、重量は150kgにもなるそうです。す、すごいですね…。




本堂の中に安置されているのは国重要文化財の釈迦三尊像です。
撮影禁止の為、お写真には納めていませんが、中央に釈迦如来、右に文殊菩薩、左に普賢菩薩の3人が並ぶ三尊像で、1352年に造られた物になります。HPにお写真は出ていますが、その迫力を味わうためにも、ぜひ実物をご覧になってみて下さいね。



平日という事もあって参拝の方はあまり多くなく、この広々とした本堂にたった一人と、大変贅沢な時間を過ごす事ができました。
せっかくなので、美しいお堂の天蓋を真下から。




さて、本堂を後にして順路を進むと、なんだか怖いお顔がたくさん並んでいます…。
この廊下を渡って、いよいよ半僧坊真殿に近づいていきます。



ちなみに皆様、「半僧坊」って何かご存知ですか?
私は今までずっとお寺の施設か建物の一種で、「奥山半僧坊方広寺」というのは「奥山にある半僧坊という建物がある方広寺」と思い込みで勘違いしておりました…。

「半僧坊」とは、方広寺で祀られている鎮守の神様の事なんです。

言い伝えによると、方広寺の開祖である無文元選禅師が中国から船に乗って帰国する際、東シナ海で台風に遭われ、その時に突然船に現れたのが、この半僧坊様でした。そのお姿は、法衣をまとって袈裟を着た鼻の高い異人の姿だったそうで、「わたしは禅師が正法を伝え弘められるために、無事に故国に送り申します」と叫び、船を博多の港まで導き、姿を消したと言われています。そしてその後、禅師がこの方広寺を開かれたとき再び現れて弟子となり、修行に励んておられましたが、その後禅師が亡くなると、「わたしはこの山を護り、このお寺を護り、世の人々の苦しみや災難を除きましょう」と言い残し、姿を消したのだそうです。

半僧坊というのは、禅師の弟子となる際のお姿が僧のようであって完全な僧の姿ではなかったため、禅師から「汝は僧にあって僧にあらず」といわれ、「半僧坊」と呼ばれるようになったことからだそうです。

その後、「奥山半僧坊大権現」としておまつりするようになり、厄難消除(海上安全・火災消除)の神様として、ご信仰をあつめています。
明治時代に起こった大火でも、大火事の中にも拘らず半僧坊を祀るお堂はなぜか焼けなかったそうですよ。

こちらのお写真は、半僧坊真殿にある上り龍下り龍です。




その後は順路を戻り、本堂裏庭園「らかんの庭」を見学。
このお庭にもたくさんの羅漢様がいらっしゃり、笑顔で迎えてくださいます。荒い石垣のくっきりとした陰影がとても印象的でした。



らかんの庭を過ぎると、左手に傾斜を上る階段が。ここで屋外用の履物に履き替えて登っていきます。



先ほど参拝した半僧坊真殿のスタッフさんと少しお話をした際に、この階段を上った先にある「上天台舎利殿(じょうてんだい しゃりでん)」から眺める方広寺の景色が素敵ですよと教えてもらったので、わくわくと足を進めていきます。



登り切ってみると、まだかなり新しい舎利殿があり、そこからは境内一と言われる見晴らしの良い眺望を見ることができました。目線が高いため、本堂の立派な瓦屋根も思う存分眺めることができます。これもお写真では伝わりきれない壮大さです!!

舎利殿とは仏の遺骨を安置する納骨堂の事なのですが、なんとこの方広寺にはスリランカの仏歯寺(お釈迦様の犬歯が納められている、仏教の聖地。)からお分け頂いた仏舎利(お釈迦様のお骨の一部)が納められているそうです。
壇家の方だけでなく、一般の方もこの舎利殿に納骨する事ができるそうですよ。

私事ですが、ちょうど3年前にこの仏歯寺に行ってきました。お堂の中には色鮮やかな蓮の花がたくさんお供えされており、お香の立ち込める中、熱心な仏教徒が床に座り込んで(恐らく)仏教歌を唱和していました。まさに聖地という言葉にふさわしい、エネルギーをひしひしと感じたお寺でした。
この写真は仏歯寺のお堂の入り口ですが、日本のお寺とかなりイメージが違いますね。





最後に、方広寺のご神木「半僧杉」。
この杉は推定樹齢600年で、先述した明治の大火の際にも火災を免れたため、鎮守の神様の名を取って半僧杉と呼ばれているそうです。




ご紹介したいことが多く、大ボリュームになってしまいましたが、方広寺編、以上となります。

宝林寺で購入した御朱印色紙も、残り2つとなりました!
あと2か所、④大福寺と⑤摩訶耶寺は改めてご紹介してまいりますので、次回もぜひよろしくお願い致します♪





奥山方広寺

静岡県浜松市北区引佐町奥山1577-1
TEL:053-543-0003
拝観時間:9:00-16:30(最終受付16:00)
入場料:大人(高校生以上)500円、小人(小中学生)200円
駐車場:あり

http://www.houkouji.or.jp/index.html




関連記事